【成毛眞】本は同時に10冊読め!

成毛眞】本は同時に10冊読め!(2008/1/21)
※以下抜粋

■p52
 本や雑誌のタイトルにこれだけ「成功」という単語がついているのだから、成功者になりたい人は相当いるのだろう。だが、何をもって「成功」というのだろうか。

 たとえば、居酒屋のチェーン店を経営し、1000億の富を築いてプールつきの豪邸に住み、自家用ジェット機で世界中を旅して回る生活を送っていたとしても、私から見たら成功者とはいえない。

 仕事とは、金儲けをするためだけにするものではないし、人生の目的も金儲けではない。すでに誰かがやっているのと同じビジネスで多額の金を稼いだところで、私にとっては意味がないのだ。

 会社であくせく働くのがイヤになって独立するのはいいが、コンビニやファストフード店のオーナーになったり、メーカーがつくったものを売る小売店を開いたりしたところで、支配されていることに変わりはない。それは独立ではなく、新たな支配者の傘下に入っただけである。そんなことに独立資金を費やすぐらいなら、メーカーに勤めてものを生み出す仕事に喜びを感じるほうが、よほど生産的だろう。

 成功とはイノベーション、つまり革新性のあることを実現できたときにはじめて成り立つものだ。他の人が思いつかないようなビジネスをして、他の人がマネできない生き方をしてこそ、自分の人生を生きているのではないか。

 お金とは、その副産物としてついてくるものである。金儲けをしたくてビジネスをはじめる人は、一生お金に支配されたままだろう。それは真の成功とはいえない。形を変えた働きアリである。

 本や雑誌でさかんに紹介されている成功者は、たいていこの「形を変えた働きアリ」だ。一時は成功するかもしれないが、人と同じようなことをしているかぎり、いつか消費者に飽きられ、行きづまってしまう。

 (中略)まずは、家にある成功者うんぬんといった本を捨てるべきである。人の成功はマネするものではない。自分がマネされる側に回らないと、成功など程遠い。

 

■p62
 学校で教える知識も必要のない知識である。娘の社会科のテストで「日本でいちばんサヤエンドウが採れる県はどこですか?」という設問があった。それを覚えて何の得になるのだろう。信濃川の支流の名前だの、大塩平八郎の乱は何年に起きただの、そんなことをスラスラ答えられるほうがおかしい。

 そんなことよりも、挫折や絶望したときに、どう立ち直ればいいかを知るほうがよどほ大切だろう。人間関係で悩んだとき、自己嫌悪に陥ってしまったとき、どこに解決の糸口があるのかを探る力を身につけるほうが、よほど生きていく上で役に立つ。

 

■p83
 ボーッとCMを見ていたのでは、テレビ局の思うツボである。CMで気になった商品を買いに走れば、宣伝している企業の奴隷になっているようなものだ。

 

■p86
 会社から離れている時間まで会社に投資をする必要はない、ということである。会社がお金を払うのは、会社にいる時間に対してだ。それ以外の時間を会社に費やす必要はない。通勤時間は寝て過ごし、土日も寝て過ごしているようでは、人生のすべてを会社につぎこんでいるようなものである。