【石原結實】「水分の摂りすぎ」は今すぐやめなさい

【石原結實】「水分の摂りすぎ」は今すぐやめなさい(2004/3/25)

■はじめにより
 いつから日本人はこんなに「水分」を摂るようになったのか。


 ・かつては、お茶は「湯飲みで飲むもの」だった。湯飲み1~2杯とは比べものにならない量が入ったペットボトルで冷たいお茶を飲む習慣などはなかった。だいいち、ビンや缶から直接飲む(ラッパ飲み)ことや、歩きながら飲むなど、そもそも行儀が悪いことではなかったか。

 ・今やどこへ行っても飲み物の自動販売機があり、どこにでもあるコンビニで飲み物がすぐ手に入る。

 ・電車に乗ると、若い女性のバッグからペットボトルが覗いている……。


 みんな、そんなにノドが渇いているのだろうか。そんなに体が水を欲しているのだろうか。

 私はそうではないと思う。

 水分はたしかに人体には必要不可欠だ。それが必要量入って体内でしっかり利用され、きちんと排泄されればいい。しかし、多くの人の現状は違う。ほとんどが「摂りすぎ」であり、それが十分に使われずに、排泄もされずに溜まっている。この体内に「溜まった水」こそが、現代人のほとんどの病気の原因なのである。

 たとえば、こんな場面を想像していただきたい。


 ①田畑に水がなければ枯れてしまうが、逆に水をやりすぎると根腐れを起こし、「洪水」になれば根こそぎ流れてしまう。

 ②でこぼこの土のグラウンドに雨が降ったあと、くぼんだところはいつまでも「水たまり」となってよどみ、ボウフラがわいたりもする。


 このように、水は摂りすぎたり、溜まったりすれば、すぐに悪い面が顔を出すのである。

 もうひとつ、典型的な例を上げよう。

 燃え盛っている灯油ストーブの上から水をバシャッとかける。すると、火は消えてしまい、水まじりの灯油が残る。

 これと同じ現象が、あなたの体の中で日々起きている。

 体に当てはめれば、「灯油」とは体を機能させる栄養分、「水」は余分な水分だ。

 本来、人体は食べた栄養は消化・吸収し、老廃物は排泄するようにできている。ところが、そのメカニズムも、「火消し役」の水が邪魔をすると働きが悪くなり、「燃え残り」が残ってしまう。火が消えた後の灯油に相当するこの「燃え残り」も、体のあちこちで病気を作る元になる。

 火事のような緊急時なら「火消し役」も必要だろうが、内臓や器官という体内の大事な「エンジン」の火を消して、いったいどうするのだ。

 
 (中略)


 「水分を摂ることが体にいい」という危ない常識が、私たちの間にはびこっている。

 あなたは、「血液をサラサラにするために」と、飲みたくもない水分を摂っていないか。

 夜中にトイレに起きるので、その分、夜、寝る前に水を1杯、朝起きてまず1杯などと自分に義務づけていないか。

 ペットボトルの飲み残しを、ノドが渇いてもいないのに、「もったいないから」とばかりにグイッと飲み干していないか。

 「肌のカサカサや手先の乾燥を防ぐため」と、せっせとミネラル・ウォーターを飲んでいないか……。


 ――これらは、今すぐやめないといけない。

 これから本文で述べるが、水を飲めば血液がサラサラになるわけではないし、肌がみずみずしくなるわけではない。体の細胞内にきちんと入らなければ、水分は役に立たないのである。

 この「水たまり」は、ふだんの食事や生活をちょっと工夫するだけで簡単に解消できる。薬も特別な器具もいらない。