【石原結實】空腹力 

※以下抜粋

■p43
 人それぞれですから、朝食を食べたほうが頭が働くと思う人は食べればいいし、食べないほうが働くと思えば食べなくていいのです。自分が調子のいいようにしたらいいのです。ほんとうにだめなときは体が受け付けなくなります。巷の説に惑わされて、絶対に朝食を摂らないといけないといわれているからと、食べたくもないのに朝食を摂る必要はありません。

 (中略)人間は本来は本能でわかるようにできているのです。いつ髪の毛のこの部分が白髪になるとか、肌のこの部分にシミができるなどとは誰にもわかりません。また、皮膚などに傷を負うと、でこぼこになることなく元通りに修復されます。すべて体の本能が決めているのです。にもかかわらず、塩が欲しいとき、米が欲しいときに摂ってはいけないとか、水を飲みたくないにもかかわらず、飲まなくてはいけないというのは、おかしいのです。

 

■p73
 私が医学生時代、皮膚科の講義のときに定年間近の老教授が「きみたち、皮膚病の『三ない』を知っているかね?」と尋ねたことがあります。みな、なんのことかわからず、ポカーンとしていたら、「三ない」とは「わからない、治らない、死なない」の意味だと言って、ニヤリとされました。皮膚病の原因は、「わかりにくい」「よって治りにくい」「しかし死ぬことがない」ということを少し皮肉っぽくおっしゃったのでしょう。

 西洋医学では、「血液の汚れ」という観念がなく、皮膚病は、皮膚に起きた病気と考えるので、「三ない」になるのです。ですから、皮膚病をステロイド剤や抗ヒスタミン剤で治療しても、老廃物の排泄反応を止めるだけで、根本的な治療にはならないのです。薬を止めると再発することも多いし、薬の副作用で他の病気が発生しやすくなることもあります。

 しかし、東洋医学では皮膚病は体内の汚れを皮膚から体外へ排泄している状態ととらえます。ですから、抑えずに出してやらなければならないのです。葛根湯などで皮膚病がよくなることがありますが、それは発刊作用を促して毒素を出すからです。

 この考え方からすれば、皮膚病を根本的に治すには、血液を浄化する以外にないということがおわかりでしょう。

 

■p196
 Gさん(女性・28歳)は、幼少時から小児喘息で散々に悩まされてきました。中学生になってから喘息はよくなったのですが、それと引き替えのようにアトピー性皮膚炎になり、徐々に悪化しました。
 
 ステロイド療法をはじめ、温泉療法や免疫療法などさまざまな治療を試しましたが一向に改善せず、25歳からは外出することも嫌になり、家でブラブラされていました。しかし、体を動かさないにもかかわらず食欲は旺盛で、結果的には身長155センチで体重は68キロと肥満体になっていました。
 
 初診時に、「喘息もアトピーも、体内の老廃物、毒素、水分が体外に吹き出てくる状態です。呼吸器を通して出てくるのが喘息で、皮膚を通して出てくるのがアトピーです。ですから小食にし、体を動かして発汗を十分にしないと治りません。薬で症状を抑えるのは、尿や大便の排泄を止めるのと同じことです」と説明しました。
 
 Gさんへのプログラムは「半日断食」の食事法ですが、夕食は陰性食品を避け、陽性食品で作った和食を腹八分目にするように指導しました。さらに朝夕に40分以上のウォーキングをして、その後に入浴、20分以上の半身浴で下半身をよく温め、排泄を促すように指導しました。
 
 Gさんは、このプログラムを忠実に実行されました。それまでは汗が出なかった体質でしたが汗が出るようになり、尿も驚くほど多く出るようになって、体重が1ヶ月で4キロ、3ヶ月で8キロ減少しました。その間、全身の皮膚からはドロドロ、ジュクジュクした臭いのある液体が滲みだしてきましたが、がまんしてプログラムを実行しつづけたら3ヶ月目には止まって乾燥しはじめ、皮膚も治りはじめました。いまではよほど注意してみないと、アトピーだったとはわかりません。
 
 その後も同じ生活を続行し、以前には季節の変わり目に出ていた喘息の発作もなくなり、すこぶる健康に過ごされています。2007年11月には、すばらしい伴侶を得られて結婚式もあげ、小生夫婦も、ご招待にあずかりました。