【苫米地英人】洗脳を解けば、人生はすべてうまくいく

※以下抜粋

■p21
 大手企業に就職すれば収入は安定し、それなりの生活はできると思います。社会的にもいくばくかの尊敬が得られるかもしれません。しかし、それが本当にあなたの望んだ道だったのでしょうか。
 
 自分らしさを発揮しながら、人々の幸せにも貢献できる充実した生き方だったのでしょうか。なんとか生きられる収入を与えられているだけでないでしょうか。子供も育てることができたとしても、資本に仕えながらただ生きて、資本に追従していくことでしか生きられない子孫を残しただけではないでしょうか。それで幸せだと思えるなら、それは洗脳された奴隷としての人生だったといわざるを得ません。
 
 このことは、たしかに洗脳なのですが、誰も、自分を育ててくれた親やお世話になった学校の先生、会社の社長が、信者を洗脳して地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の教祖麻原彰晃のような危険な存在だとは考えません。
 
 ただ、お金を儲けたいという煩悩をたきつけられ、人を奴隷化する手法をもって、知らず知らずのうちにお金を中心にした価値観に縛られ、行動を支配されるようになってしまったのです。
 
 洗脳されているのに洗脳とは気がつかない。それが資本主義の洗脳の本当の恐ろしさなのです。

 

■p49
 戦後の占領下の日本では、GHQによってWGIP(War Guilt Information Program)―戦争罪悪感情動プログラム―が徹底的に推し進められたことが公文書にも残されています。
 
 日本人の心に「戦争を起こした私たちは、ほんとうに愚かな罪人だ」という情報の書き込みをしたのです。すなわち、国内外含めて310万人もの国民が殺戮され、日本中の町を廃墟とされたその原因を、日本の軍国主義、つまり軍人に責任転嫁したのです。
 
 そのためにGHQは新聞の徹底的な検閲を行い、都合の悪い記事は削除することによって、日本人を、まず洗脳に必要な情報遮断の状態に置いたのです。いわゆる言論統制です。これらの作業は日本人の協力によってなされました。そしてWGIPに非協力な日本人は、公職追放されたり、弾圧を受けたのです。
 
 この占領下におけるWGIPは、恐ろしいことに今でも日本人の心の中に定着しています。終戦前、すでに戦争遂行能力がなくなった日本に対してさまざまな愚劣な蛮行が加えられました。1945年3月10日の東京大空襲では、下町の住民10万人を焼き殺す暴挙がなされました。挙句の果てには広島と長崎への原爆投下です。合わせて約24万人以上ともいわれる人類史上類を見ない無差別殺人を一方的に受けたのですが、いまだに「もし原爆投下がなかったら本土決戦が行なわれ、もっと多くの人が殺されていたはずだ」などという妄言を納得する日本人がいるのは、まさに洗脳の成功例といえるでしょう。
 
 WGIPは、本来なら当然持ってしかるべきアメリカに対する憎悪の矛先を見事に変えてしまった、恐るべきプログラムです。

 さらにスリーS(SEX・SONG・SPORTS)という手法も動員され、効果を上げました。セックスと歌とスポーツに興味を持たせれば、反米運動など政治的な主張をする人が減るという狙いです。
 
 1960年6月、日米安全保障条約の自動延長の期限を間近にして、連日、数万人のデモ隊が国会議事堂前に押し寄せるという反米運動の高まりがありました。
 
 同時東大生の樺美智子さん(22歳)が警察隊とデモ隊の争いで死亡したことは、今でも痛ましい出来事として記憶に残っている方も多いと思います。
 
 そんなさなか、「こんなに多くの国民が反対していますが」とある記者が、同時の岸信介首相(第56・57代内閣総理大臣、1896年~1987年)にマイクを突きつけました。それに対して岸首相が「野球場は満員だし、映画館や銀座は普段と人手は変わらない」と答えたのは有名です。
 
 国民運動を、スポーツや映画以下にしか認識していないのでしょう。まさに洗脳の片棒をかつぐ支配者の発想ではないでしょうか。
 
 いまだに日本人は3Sの虜のままなのは、日々のテレビ番組が説明しています。

 

■p98
 テレビのニュース番組は役に立つという人がいますがとんでもない間違いです。ニュース番組を見るのはまったく無意味です。
 
 テレビのニュースには今や速報性はありません。だから株やFX(外国為替証拠金取引)にも向いていません。15分前の取引情報など伝えられても株もFX取引も間に合わないのです。
 
 ニュースなら携帯電話のネットで十分ですし、株もFX取引も同じネットで十分対応できるようになっています。
 
 テレビ局は電波法や放送法により、番組に対する制約も厳しいものがありますが、民間テレビ局が放送免許を交付更新するのは総務省の認可制となっているのも問題です。
 
 そこで、政府にとって不都合なニュースを流し、政府からの圧力で認可を取り消されたら一大事です。テレビ局はお上には抵抗できないのです。
 
 そのためにテレビのニュースでは常に政権政党に有利な情報が流されがちになります。制作を請け負ったディレクターやクルーが正しい報道をしようと思っていても、最終的にはテレビ局の上層部の意を受けた報道部長や社会部長などの検閲が入り、政権党に有利なように歪曲されてしまいます。
 
 自民党の時代は特にそうでした。民主党はまだ放送側とのパイプが築けていませんのでそうでもないですが、政権が長く続くようであれば、放送への影響力は当然、増大していくと考えられます。

 

■p109
 ここで再度、抽象度について確認してみよう。モノを見るとき視点を高くしてみることを抽象度を上げるといいます。「抽象」の反対は「具体」です。抽象度を上げるとは物事の本質を少ない情報で表すことです。しかし、情報は少なくなるものの、高い視点に立って自由に物事を見ることができるようになります。
 
 ではどうすれば抽象度の高い思考ができるのでしょうか。それは、普段から常に、ひとつ上の抽象度で物事を認識するくせをつけるということです。
 
 (中略)高い抽象度でモノを見るトレーニングの例
 ○コーヒーを飲むとき、カップをカップとして見ない
  →食器として認識する

 ○ネコと遊ぶとき、猫を猫として見ない
  →生き物(動物)として認識する。

 ○空を仰いだとき、太陽を太陽として見ない
  →宇宙として認識する

 ○クルマに乗るとき、クルマをクルマとして見ない
  →乗り物として認識する。

 ○電話をするとき、携帯電話を携帯電話として見ない
  →通信機器として見る。

 ○本を読むとき、本を本として見ない
  →印刷物・出版物として見る

 このように最低ひとつ上の抽象度でモノを認識するくせをつけると、自然に思考の抽象度が上がっていきます。

 

■p138
 メディアから出された情報は、それぞれのストーリーはありますが、その中に真実はありません。ですからその情報が何のために流されたかを読むためには、一度自分の抽象度も新聞記者やテレビ人と同程度の低いものに思いっきり下げて、彼らが語ることを煩悩レベルで理解するように努めるのもトレーニングになります。
 
 たとえば大新聞の煩悩は、部数競争をいかに勝ち抜くかです。日本経済新聞の煩悩は巨大企業から広告をいかに引き出すかです。 テレビの煩悩は、視聴率とコマーシャルです。

 そういう視点で、書かれている記事や放送されている番組を点検してみるのです。

 

■p189
 今、資本主義の者たちにとって怖いのは、アメリカのコンピュータソフトウェア・マイクロソフトビル・ゲイツ会長ではありません。彼らが生み出したパソコンの中の情報空間に逃げていく、何千、何億というユーザーの存在です。
 
 彼らが物理空間ではなく、仮想の情報空間の中に喜びを見いだしたら、世界の金融資本を牛耳るロスチャイルドもロックフェラーも手を出せなくなってしまいます。
 
 情報空間のユーザーたちの中にはひとりのアイドルの生写真を買うため100万円、200万円というお金を平気で使います。
 
 さらに驚くのは、彼らの大半はアイドルのイベントには行かずに生写真だけを集めるのです。あるアイドルが好きなら誰もが生身のアイドルが歌うのを聴いたり、あわよくば握手などもしてもらいたいと思うのが当然のはずですが、彼らはそのような欲求を持ちません。あくまでも写真という情報空間の中で、彼らの欲求を膨らませるのです。
 
 彼らが住んでいる世界にはヨーロッパの大富豪もユダヤ系の巨大資本も手が出せません。情報空間にのみ喜びを見いだす人が増え、大きな数になれば、ある意味で資本主義の支配から脱出できる環が見つかるかもしれません。