【成毛眞】このムダな努力をやめなさい

成毛眞】このムダな努力をやめなさい(2012/10/20)

■p36
 人生にも攻める時期もあれば、守る時期もある。

 日本の現況を見ている限り、今は我慢の時だ。無理をして攻めてもムダに終わる可能性が大である。

 ただし、タイミングが悪いというだけで、日本が国として終わったというわけではない。

 あと20年もすれば、既得権益をがっちり握っているジジババがこの世を去り、もっとマシな世の中になる。死ぬ直前まで利権を離さないだろうから、世の中は相当混迷をきわめるだろうが、誰も寿命には勝てない。来たるべき時のために、今はムダにエネルギーを使わず、温存しておくべきだ。

 それでは来たるべき時が来るまで、どのように待てばいいのか。何もしないで寝て待っていたら、いざという時がきても、オタオタして何もできないだろう。今から準備をしておかなければならない。

 とはいえ、苦痛な勉強などを頑張る必要はない。逆境に耐えるのではなく、好きなことをやって待つべきだ。

 

■p82
 私は、人が生涯で使える「運」には限りがあると信じている。

 人それぞれ運の量は異なる。

 定められた運を一生かけて使っていく、という感覚だ。

 そのため私は運をムダ使いしないようにしている。運は継ぎ足せないので、減ればそれっきりだと思っているからだ。

 だからギャンブルはやらない。

 宝くじも絶対に買わない。

 そんな些細なところで運を使ったら、大きな運は巡ってこないと考えている。

 

■p126
 不思議なことに、日本の会議では結論が先送りされることが多い。

 何時間も話し合っておきながら、結論が出ないと「また次回に」、改めて議論しても結論が出なければ「また次回に」。

 そのように延々と結論が出ない話し合いをしても無意味だ。

 まさにムダな努力の典型である。

 「話し合って」結論が出ない――。

 ならば、「やってみて」結論を出すしかない。

 誰も責任を負いたくないから、「これでいこう」と決断を下せないだけではないのか。

 朝礼暮改を実行する際に重要なのは、はっきりと前言を撤回することである。「あの話、ちょっと保留にしてくれないか」「今は難しいかもしれない」などと言葉を濁してはいけない。ダメならダメだとはっきり撤回するほうが、相手のためになる。

 うやむやにすると、その間、相手は期待して待ち、何らかの準備を始めてしまうかもしれない。

 最終的にNOというなら、あらかじめNOといったほうが、お互いに時間も労力もムダにしないですむ。

 そういう簡単な話だ。

【監修:千田恵吾】オンナを虜《トリコ》にするテクニック

【監修:千田恵吾】オンナを虜《トリコ》にするテクニック(2012/9/1)

■p35
 女性は、その差の大小はあるが、基本的に心変わりしやすいといわれる。

 その、激しい心変わりの原因とされるものは、やはり、ホルモンだ。男性の場合、数種類ある男性ホルモンのうち、精神に影響を与えるホルモンは、ここまでにもたびたび出てきたテストステロン1種類のみ。しかし、女性ホルモンを見てみると、主なものでもエストロゲンプロゲステロンオキシトシン、そしてテストステロンだ。テストステロンは男性ホルモンだが、女性の場合も微量だが分泌される。

 これらのホルモンが女性の生理周期によって増減する。そしてその時々で、精神に強く影響を与えるホルモンが違うのだ。主な4つのホルモンに影響を受けるということは、実は女性はひと月に4つの顔をのぞかせることになる。

 これは1ヵ月を通してほとんど変化のない男性にとっては、理解できない現象だ。


 女性の変身パターンを追ってみよう。

 ではまず、生理1週間前。PMS(月経前症候群)という言葉があるほどに、女性の生理前は、精神的にかなり不安定な時期。突然怒り出したり、何を言っても食ってかかってきたり、ありえない要求をするなど、はたから見れば、ただの不機嫌な固まりのよう。

 次いで、生理期間。カラダがだるく重い、一歩も歩きたくない、何もしたくない、という期間だ。生理前の不機嫌さがそのまま持ち込まれるが、ズズーンと内にこもった不快感である。こんなときにデートに誘ったり告白したりしても、100%無理! 「あー、うるさい! イライラするわね、向こうに行ってよ!」とけんもほろろ。取り付く島もない。生理前の期間と同じ出、放っておくに限る。だから、この期間に冷たくされてもがっかりする必要はないのだ。

 さて、やっと生理も終わると、気分爽快、絶好調に! 気分は快晴、頭も心もスッキリして、お肌も快調、化粧ののりもよくなって気分はウキウキ。排卵日に向けてエストロゲンの分泌量も増えるので、もっとも口説かれやすい時期になる。気持ちも前向きになれば、性欲もうなぎのぼりだ。

 絶好調のときの女性は口もなめらかで笑顔を振りまき、実際にかなり魅力的になる。また、露出度の高いファッションが特徴にもなりがちである。ただし、この時期の女性は頭の回転も絶好調、洞察力もアップしているので、口から出まかせのウソを見破る能力も絶好調になる。そういう意味では要注意、要するに、男性を見極める能力も段違いに向上させているのである。妊娠しやすい時期であるため、「男を見る力」が増しているのである。

 さて絶好調期が終わると、精神安定剤のような役割をするプロゲステロンオキシトシンというホルモンが一気に増えるため、落ち着きを取り戻すが、もちろんデートに誘うくらいなら問題ないはず。最も妊娠しにくい時期であり、またはすでに妊娠している時期。

 

■p109
 たいていの女性は、男性がなぜエロ本やAVを見るのか理解できない。それは、女性が男性のように視覚では性的刺激を受けない傾向にあるからだ。最近は「イケメンの男が好き」と公言する女性も多いが、イケメンを見て性的刺激を受けているかどうかは疑問である。では、女性はどんな場合に性的な刺激を受けるのだろうか?

 一般的に女性はストーリーやイメージを好み、重視する。多くの女性は恋愛小説が好きだが、それは男女関係に関するストーリーがあるからだ。女性向けのエッチな漫画・レディコミも男向けのエロ本とは違ってストーリー重視の内容になっている。女性の場合は、一つのストーリーである恋愛関係の発展のプロセス、それに関するイメージといった特定のシチュエーションの中で、性的刺激を受けやすい傾向にある。簡単に言えば、言葉や雰囲気によって性的刺激を受けやすい傾向にあるのだ。

 
 道ですれ違ったカップルの女の子のほうがすごくかわいくて、男のほうがさえない奴だったとき、「何であんなブサイクな男が、あんないい女とくっついてるんだ?」と、何となく悔しい思いをした経験があなたにもあるはず。相手を選ぶ基準が男女で違うのだろうか?

 視覚により性的刺激を受けやすい男性は、当然視覚によって女性を選ぶ、その結果客観的に見てルックスの良い女性に魅力を感じやすい。それに対して女性の場合は、男女の関係について重視するストーリー性やイメージを満たしてくれる相手であることが、カレシを選ぶ絶対条件なのだ。

【三浦知良】やめないよ

三浦知良】やめないよ(2011/1/20)

■プロローグより
 いま僕は、身体的にも、ある意味で未知の領域を歩いているのだと思う。90分走れる身体がいったいいつまでどこまでもつのか、僕にも誰にもわからない。

 2010年のシーズン、僕の公式戦での出場時間は、おそらく、ブラジルから帰ってきて以来、最も少なかったはずだ。こういうシーズンの過ごし方は実に難しい。試合にフルで出続けているときのほうが心身のバランスはむしろとりやすい。

 選手によっては、これだけ練習しているのに試合に出られないのだったら、こんな苦しい練習はもうしなくてもいいだろう、という気持ちにだんだんとなっていきがちだ。とりわけ、年齢を重ねると、どうしてもそういう類の言いわけを自分自身に用意してしまう。

 けれども僕は、どうしてもそういう気持ちにはなれない。1分も試合に使われなかったという悔しさ、むしゃくしゃする気持ちがとても強く出てきて、また練習に向かっていこうとする。その姿勢は、10代、20代のときから、まったく変わっていない。まあいいや、なんて思ったことは一度もない。

 ただ、僕は、そんな悔しさも含めて、いまもなおサッカーというスポーツを続けられていることが楽しくて仕方ない。

 たとえば、チームみんなでスーツを着て、新幹線に乗って、4時間かけて岡山に遠征に行く――というようなこと自体が嬉しい。サッカー選手である、と実感できるのだ。それは、10代のときブラジルで10時間も20時間もバスに揺られ、みんなでメシを食って、治療して、試合の開始時間を待って……、と25年前にやっていたことと同じことなのだ。

 ふつう、会社員であれば、40歳を過ぎるとそれなりの地位に就いているのかもしれない。けれども、僕は一選手だから、あるときは監督の指示に従い、あるときは18歳の選手と同じジャージを着て、同じメシを食堂で食べる。そんな環境にサッカー選手として浸っていられることが本当に幸せで、楽しい。30歳でやめてしまった選手にはもう味わえないことを、もうすぐ44歳になる僕はまだやれるのだから。そんな、自分はサッカー選手なんだ、と思える瞬間が、楽しくてしかたがない。

 試合前日あるいは遠征当日、監督がメンバー発表を行う。そんな監督の声を僕は25年間、ずっと聞き続けてきた。「今回の18人を発表する。誰々、誰々」――。メンバーに入っているのか、入っていないのか。そのドキドキ感も10代のときとなんら変わらない。入っていなければ、居残り組の練習で鬱憤を晴らす。入れないのは悔しいけれど、プロの選手としてまだ戦っているということがうれしい。

 ブラジル時代に、メンバーから外されたり、試合で使われなかったときに思った「こんなクソチーム、やめてやる」という怒りの気持ちは、いまも変わらず湧き出てくる。でも、次の日に練習をすると、汗をかいてすっきりして、また新しいアイディアも出てきて、再生されてしまう。練習するまでは頭にきているのだけれども、「サッカーをやっていると、いいことあるよ。ちゃんと練習をやっていれば……」と自分を俯瞰して話しかけてくるもうひとりの自分がいて、感情的な部分が削ぎ落とされ、またサッカーをやろうという気になるのだ。そんなことを僕はもう25年間繰り返してきた。

 未知の領域をこれからも、苦しみながら、楽しみながら、一歩ずつ踏みしめて歩いていこうと思う。

【サプライズBOOK】女心がわかる男になる!ための男と女の生態雑学

【サプライズBOOK】女心がわかる男になる!ための男と女の生態雑学(2012/2/1)

■p44
 自己知覚理論とは、自身の行動などによって、自分の気持ちや本音に気付くというもの。たとえば異性が喜びそうなことをしてあげることで、「こんなことをするなんて、私はこの人のことが好きなんだな」と自己分析するわけです。

 自己知覚理論に関わる実験で有名なのが、アメリカの心理学者のL・フェスティンガー氏とJ・M・カールスミス氏が1959年に行った「1ドルの報酬実験」。彼らは2つのグループに単調な作業をさせ、一方のグループには1ドル、もう一方には20ドルの報酬を払いました。

 一般的に考えれば1ドルの報酬をもらったグループより、20ドルの報酬をもらったグループのほうが仕事に対して面白さややりがいを感じるはずですが、じつは逆。1ドルをもらったグループは「わずか1ドルで作業するなんて、私はこの仕事が好きなんだ」と思ったそうです。これはまさに”まず行動を取り、それから自分の気持ちに気付く”という自己知覚理論が該当します。

【小林弘幸】自律神経を整える「あきらめる」健康法

【小林弘幸】自律神経を整える「あきらめる」健康法(2013/8/28)

■p196
 よく「笑顔でいると病気が治る」「笑顔を意識することでがんが消えた」といった話を聞きます。これは自律神経からみても、大いにありうることです。

 笑うと、体内に影響をおよぼし、本当に病気をやわらげる効果があるのです。笑顔でいると副交感神経が上がり、リンパ球も活性化し、それだけ免疫力が高まることは実験でも証明されています。

 実際にいろいろな表情をしたときの自律神経の状態を計測、比較するという実験をしましたが、その結果わかったのは、心からの笑顔はもちろんのこと、たとえ作り笑いでも、口角を上げれば副交感神経は上がるということでした。

 これはまだ仮説ですが、おそらくは、口角を上げるという動作が顔筋の緊張をほぐし、心身にリラクゼーション効果をもたらすのだと考えられます。

 イライラしたり、落ち込んでいるときは、交感神経が上がり血流が悪くなっています。こんなとき、無理にでも口角をキュッと上げて笑顔をつくってみてください。これだけで自律神経は反応し、副交感神経が上がってきます。

 (中略)

 その反対に、緊張を高め、副交感神経を下げてしまうのが「しかめっ面」です。口角がさがり、眉間にしわを寄せたこの表情は、顔筋の緊張を高めてしまうからなのです。

 心の底から楽しいと思えなくても、「しかめっ面」をやめて、口角を上げれば、それだけで緊張が解け、副交感神経が上がります。副交感神経が上がれば、全身がリラックスしてきて、心にも余裕が生まれます。

 ですから、笑うということを日常の暮らしのなかで意識的にしていく習慣をつけておくと、ネガティブな気持ちに引きずられることなく、気持ちを前向きにしていくことができるのです。

【山口真由】天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。

【山口真由】天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。(2014/1/20)

■p24
 得意分野でプロフェッショナルになる、そう思ったときに、では、自分の得意分野はどこなのか、わからないと思われる方のほうが多いのではないかと思います。

 これはしごく当然のことです。誰でも、自分を基準に考えているので、自分がその分野で秀でた能力があると気付かずに、部下や後輩に対して「どうしてこんな簡単なことができないんだろう」と不満に思ったりするものです。

 私も、高校生のときには、自分が「特に読むのが速い」と思ったことはありませんでした。自覚をしたのは、何回かまわりの人に「もうこんなに読んだの?」と驚かれたから。周囲の反応を見ながら、能力について気付いて、それに自信を持つようになっていったのです。自分が得意なことを探すのは、案外難しいのではないかと思います。今いる環境が自分に合っていなければ、見つけることすらもできないかもしれません。得意なものと出会うこと自体、運の要素も大きいと思います。

 だから、ここでは自分の「得意分野」を測るための指標を使いたいと思います。ビジネスにおいて求められるのは、「アウトプットする力」です。そして、精度の高いアウトプットをするためには、必ず「インプットする力」を組み合わせる必要があります。「インプットする力」としては「読む」ことと「聞く」ことがあげられ、「アウトプットする力」としては、「書く」ことと「話す」ことがあげられます。

 つまり、自分の得意分野を見極めるために、誰もが小さい頃から日常生活のなかで行っているこれらのよっつの行動について、自分の能力を評価すればいいだけなのです。もし、自分での評価が難しければ、自分のまわりの人と比べるのがよいでしょう。

 また、「読む」「聞く」は内向的タイプで、「書く」「話す」は外交的タイプと、ここでは便宜的にわけることとします。

 私を例にすると、私の場合は圧倒的に「読む」ことに特化した人間であるといえます。ここは5段階でいえば「5」です。その次に得意なことは「聞く」ことで、「4」だと思います。次は「書く」ことで「3」くらいとしておきましょう。もっとも苦手なのは「話す」ことでこれは「1」です。

 すると、私はやや内向的な方向に寄った、インプット型人間であることがわかります。ですから、私が努力すべきことは、やはりインプット作業を主としたものとなります。

 他の例を出しましょう。

 たとえば、小学校時代の親友の話をすると、彼女は「話す」ことは文句なく「5」でした。誰もが彼女の話に魅了され、彼女がいるだけで、その場に笑いが起こり、ぱっと明るい雰囲気になりました。次に、話を「聞く」のは「4」でした。相づちの打ち方もうまく、彼女に話しただけで悩みが解決した、と思ってしまうくらい聞き上手だったのです。

 一方、「書く」ことについては苦手で「2」です。実際に、彼女と交換日記をしたことがありました。話しているときは気にならなかったものの、彼女の文章は飛躍が多くて、主語や述語もはっきりしなくて、なかなか読みにくいなと思いました。

 そして、もっとも苦手なのは「読む」こと。大人になってからの彼女は、教科書以外の本を読むことはなかったと公言していました。評価でいえば「1」になるでしょう。

 すると、彼女が努力すべきところは、「聞く」「話す」に特化した外向的なこととなります。ちなみに彼女は、いま美容師をしています。彼女によると、美容師としての技術はもちろんですが、お客様とのコミュニケーションがとても大事だそうです。話すことも、お客様の話に相づちを打つことも、とても得意な彼女には、まさに天職と言えると思います。

 他の例でいえば、たとえば私の経験してきた業界だと、官僚は、政治家に対して口頭で報告する場合が多く、「話す」能力は、一流の官僚であるための大事な要件でした。それに対して、弁護士、少なくとも企業法務に従事する弁護士は、依頼者に対して文章で答えることが多く、「書く」能力にかけてはプロフェッショナルであることが求められます。

 なお、どうしても自分が「読む」「聞く」「書く」「話す」のどれが得意か評価できないとしたら、とりあえず、今の自分の職業や役割について考えてみましょう。きっと自然に自分が得意なものを選んでいると思います。

 たとえば接客業をしており、仕事を楽しめているなら、「聞く」「話す」といったことが得意であるのかもしれません。もしくはデスクワークをしていて、適正を感じているのであれば、「読む」「書く」に優位性があるのではないでしょうか。学生時代の部活動での役割や、あるグループでの”キャラ”でもいいでしょう。そういうところから、ひょっとすると、得意な能力がみつかるかもしれません。

 もちろん、運悪く不得意なことばかりに囲まれている人もいらっしゃるかもしれません。そういう状況であるならば、「なんとか努力をして克服しよう」と思うよりは、別の得意なものを見つけに、今の場所から移動することを考えてみたほうが賢明なのではないかと思います。

【牛堂登紀雄】僕が30代で5億円の資産をつくれたのは、誰でもできるシンプルなことを大切にしただけ。

【牛堂登紀雄】僕が30代で5億円の資産をつくれたのは、誰でもできるシンプルなことを大切にしただけ。(2013/8/5)

■p124
 私の机の上は散らかっています。整理整頓するのが面倒くさいという理由が大きいのですが、資料類を整理すると、また取り出すのが面倒だからです。

 同時にたくさんの案件を抱えていると、それらを同時進行させる必要があります。それをいちいち片付けたりファイリングしてキャビネットにしまったりすると、また出さなければならず、むしろ生産性が下がります。また、新聞や雑誌記事の切り抜きも一切やめました。

 就職して1年間ほど、日経新聞の切り抜きをせっせと集め、スクラップブックにしたり、ファイルボックスに保管したりしていたことがあります。

 しかし、それで賢くなった気になって終わりでした。せっかく切り抜いた記事もファイルボックスに投げこんで終わり。活用されることなく忘れ去られていました。

 情報は整理した瞬間に死んでしまうということに、あるとき気づいたのです。

 そこで、今は必要な記事や情報はそのまま机の上にポンと置くことにしています。

 集めてくる情報も、昔はただ漫然と「いつか使うだろう」と、興味をひかれたものは何でもかんでも収集していました。

 でも「いつか使えそう」は「おそらく永久に使わない」ですから、「これを何に使うのか」という目的が明確でなければ、流して捨ててしまいます。

 つねに最新情報が溢れ、そのスピードも速い。本はまた買えばいい。新聞や雑誌の記事は、ネット上に溢れている。

 情報は保管するよりも、必要になったときにその都度収集し、使い終わったら捨てるという、消耗品として扱うほうが良いと感じています。

 

■p179
 以前、夫婦でカンボジアへ視察旅行にいったとき、現地のゴミ処理場を案内してもらいました。

 そこでは、5歳から10歳くらいでしょうか。孤児の子どもたちが働いていました。しかも上半身ハダカで、靴も履いていません。

 彼らはうず高く積まれたゴミの山の中から鉄くずを取り出す仕事をしていて、夕方にはブローカーが来て、その鉄くずと交換にお金を受け取ります。

 しかし、丸一日働いてもらえるお金は、わずか40円ほど。彼らはおもいっきりブローカーに搾取されているのですが、仕事がないよりマシなので、文句も言わず、もくもくと働いています。

 子どもたちの多くは、15歳まで生きられないそうです。裸足なので、足をけがして細菌が入り、病院にも行けず、ほとんど数年で死んでしまうとのこと。

 ゴミ処理場に住んでいて、家もお金もなければ、学校にも行けないし、おいしいものも食べられない。

 彼らはその短い一生を、ゴミの山に囲まれて死んでいくのです。

 その様子を見たとき、私は涙が出そうになりました。子どもたちが気の毒だという気持ちと共に、いかに自分が恵まれているか、そのありがたさを実感したからです。

 と同時に、挑戦しないということが、とてつもなく罪悪だということも感じました。

 よく、「自分には無理」「リスクがあるから」という人がいますが、カンボジアの貧しい子どもたちからすると、「バカじゃねえの?」「お前ら、なんだってできるだろ?」と言われるでしょう。

 彼らは挑戦したくてもできない。携帯電話もパソコンも持てない。どこかへ逃げたくても、逃げられない。人生を変えたくても変えられない。こんな状態で、夢なんて見られるでしょうか。

 でも私たちは、やろうと思えばなんだってできる、夢も見られるし実現に向かって走ることもできる。私たち夫婦は、日本に生まれてきたことに感謝しました。

 カンボジアから帰国した私たちは、さらにアクセル全開で仕事に打ち込んだのは言うまでもありません。