【千賀一生】タオ・コード

【千賀一生】タオ・コード(2009/2/28)
※以下抜粋

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 中国古代の賢者、老子をあなたはご存知だろうか?

 もしも老子をご存知であるならば、彼が語る冒頭の一章を次のように訳したとしたら耳を疑うことだろう。


 道可道非常道、名可名非常名。
 無名天地之始、有名萬物之母。
 故常無欲以觀其妙、常有欲以觀其徼。
 此兩者、同出而異名。
 同謂之玄、玄之叉玄、衆妙之門。(一章)


 道の道とす可(べ)きは常の道に非ず、名の名とす可きは常の名に非ず。
 無名は、天地の始めなり、有名は、万物の母なり。
 故に常に無欲にして以て其の妙を観、常に有欲にして以て其の徼(きょう)を観る。
 此の両者は、同じ出にして名、異にす。
 同じく之を玄と謂うも、玄の叉た玄は、衆妙の門。


 <訳>
 私は今から性の秘密について語ろう。
 かといって、あなた方がよく行う、うつろいゆくセックスについて語りたいわけではない。
 究極の性とは、この宇宙を生み出した、名前すらない本質だ。
 あなた方の知るセックスは、その本質の擬似的表れにすぎない。
 だから、情欲的次元を超えて、性なるものの本質を観るんだ。
 あなた方が知る粗野な性の悦びを超えた、はるかなる至福世界がその奥にはあるのだよ。
 あなた方はその一時のセックスにさえ不思議なほどの魅力を感じるというのに、そこに秘められた、その何倍もの深遠世界に、どうして気づこうとしないのか。
 それこそが究極の性、すなわち、森羅万象を抜き超えた真の至福の領域なのだ。
 (私はその究極の愛(エクスタシー)へと至る道をこれから語ろう)


 老子書の前書きとして語られたこの一章が、世界的に知られている訳とはまったく異なることに驚かれるかもしれない。
 
 しかし、これは誤りではない。

 老子書は、世によく知られるその詩文の裏に、秘教的教えが二重写しで記述されている暗号の書であり、その秘教は、2500年もの間、人々の目から封印され続けてきた。

 今や西洋社会でも最もよく知られた東洋の賢者である老子であるが、人々は表層の意味のみでTaoを理解してきたにすぎないのである。

 私は、この老子が語る性とは何かを、中国の奥地で教えられ、実体験した経験を持つ者である。

 性とは、人間の幸不幸を決定的に決めてしまう力を握っているものであることを現代人は知らない。

 そのTaoの真実を、老子書の解読と私の体験の告白によって、明らかにしてゆくことにしよう。